アラサー懊悩社会人、弁護士を目指す

予備試験ルートで司法試験合格を目指すアラサー社会人のブログ。2019年9月~勉強開始。熱しづらく冷めやすい性格が災いしないか懸念。

LEC「S式入門講座」の受講感想(受講後1ヶ月半時点)

本日は、私が現在受講しているLECのS式入門講座を1ヶ月間受講してみての感想をお伝えさせていただければと思います。

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出典:

スマホで司法試験 S式入門講座 - 司法試験 入門|LEC東京リーガルマインド

S式入門講座とは

S式入門講座。

司法試験を志していれば、知らぬ方はほぼいないだろうとされるカリスマ講師・柴田孝之先生がメイン講師を務めるメイン講座です。

 

スマホで司法試験 S式入門講座 - 司法試験 入門|LEC東京リーガルマインド

 

司法試験業界の歴史はまだよくわかっていないものの、「効率的な勉強方法」を業界に知らしめた存在だそうな。

柴田先生の教え子である工藤北斗先生も、講師になりたての頃「柴田先生の入門講座を超える入門講座はできない(というかそもそも存在しない)」と思っていたそうです(註1)。そして、柴田先生のスタイルを踏襲しながら、それと異なる入門講座のあり方を追求され、今に至るようです。

 

そんな柴田先生の入門講座ですが、なんと現在119,800円で購入が可能です。

(私が購入した時は、これよりさらに割引されていました)

価格的な優位性では圧倒的と言えましょう。

 

かくいう私も、かなりの貧乏性であり(それなのに全然貯金はできない)、

「実績、定評のある講義を低価格で受講できる」という理由から同講座を購入しました。

 

註1:引用元は以下。

入門講座の選択について | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

 

講義のスタイル

 

S式入門講座は、“1科目を3周する”というコンセプトで作られています(工藤先生の「総合講義300」もこのようなスタイルのようです)。

 

1周目には基本的な知識や考え方。条文や定義、趣旨等が、事例に即して説明されます。

2週目には、1周目の知識を復習しつつ、応用的な論点の中でも重要性の高いものが扱われます。

3週目には、論文式試験で問われる論点解説が行われます。

 

恐らく、「極力早く科目全体を1周し、全体像を把握する」「繰り返しにより記憶を定着させる」といった理由から、こうしたスタイルが採用されているのだと考えられます(ただし、憲法の統治編などは2周しかしません、相対的に重要性が低いからと考えられます)。

 

またS式入門講座は「基本編」と「応用編」に分かれていますが

「基本編」で1~2周目を行い、「応用編」で3週目を行います。

 

ただ・・・・これまで「S式入門講座」の「応用編」ならびに民法の「基本編」「応用編」は、柴田先生のご担当ではありません。

LEC専任講師の田中正人先生がそれらの講座を担当されています。

「重要な論点部分や司法試験のキモとなる民法の講義が柴田先生じゃないなんて!!!」と思う方もいるかもしれません。しかし詳細は後述しますが、私は田中先生の講義に大変満足しています。

 

受講をした感想:目的に到達できたか?

 

S式入門講座のHPには、以下のように謳われています。

 

「法律知識ゼロの方でも司法試験合格に必要な知識の90%をスマホ受講で修得できます!」

「完成編まで講義を聴けば、後は過去問と問題集、答案練習会を通じた問題演習を積むだけで司法試験は合格します」

 

 

こうした文言の趣旨から考えると、

本講座の到達目標は、「問題演習(特に論文)を効率的に進める為のインプット上の課題を概ね解決できる」ことかと思います。

つまり、問題演習に取り組んだ際に、①「未知の知識ばかりで、それらを調べることに時間を要するような状態を回避(試験に必要な知識の網羅性)」でき、

かつ②「講座で学んだ知識がアウトプットに適した形で定着している(インプットとアウトプットの一体性)」が求められると思います。

これはどんどん問題演習をこなしていきたいという、私の入門講座受講の目的に適うものでした。

 

私は本講座を完全に終えられたのは、まだ刑法だけですが、

少なくとも刑法に関してはこの到達目標に達することができたと考えています。

 

①については問題演習の中で、全く知らない事項に出会ったことはかなり少なく、講座で学んだ事項に基づいて如何に問題を解くかという勉強にある程度専念することができます。

②については、特に同講座の「応用編」では、論文で問われる重要論点ばかりが扱われています。その処理方法や基本的思考を講座の中で既に辿っているため、論証の理解&暗記もスムーズに進みます(註1)。

 

これらの理由から、少なくとも現時点において、同講座を受講してよかったと感じています。

 

註1:「S式入門講座」のテキストは、レジュメ形式です(全く同じ内容ではないのかもしれませんが、柴田先生のHPに掲載されています)。行間が広く、初学者ではレジュメだけを読んでも理解が難しいものと思いますが、講義の説明でその行間を補足、理解していくイメージです。恐らく、「必要最小限度」という柴田先生の理念に基づいているのでしょう。

「応用編」の論点解説部分のレジュメに関しては、それがそのまま論文で使える文言になっており、レジュメに記載されていることを理解&説明できるようになることが論文対策に直結します。

 

田中正人先生について

 先述のとおり、同講座の「応用編」と民法は田中正人先生がご担当されています。この点については不満の声もあるようです。

 

また田中先生については、ネットで調べてもあまり情報が出てきません(「ヒゲが濃い」などしか出てこない)。

私も同講座の購入前、田中先生の講義に関する情報の不足が、購買を躊躇する1つの要因となっていました。

 

しかし、田中先生の講義の受講をしてみた結果、満足度は非常に高いものになっています。

理由は多々ありますが、“わかりやすさ”という点が第一です。

田中先生の講義を聞くと、「なぜそれが論点になるのか」「なぜその反対説が出てくるのか」という“そもそも”の話がよくわかります。

 

私は田中先生の講義を聞いた後、アガルートの重問に取り組みましたが、「論点の抽出」と「思考プロセスの流れの一応表現」は、できるようになっていました。表現は稚拙であったり、ワードチョイスが正確でなかったりしたものの、一応答案を結論まで展開できるような形です。これは、田中先生の講義において、論文に必要な思考プロセスを辿れたからではないかと思います。

 

もしも私が貧乏性でなく、かつ日本に住んでいたら、LECで田中先生が担当しているゼミの参加も考えたかもしれません。そのくらい満足しています。 

受講をした感想(若干の不満)

 

同講座については現時点において、概ね満足しています。

ただやはりどうしても不満に感じる点もあります。

 

まず、2周目における柴田先生の講義について。

Twitterでも同様の投稿を見かけましたが、2周目の講義における柴田先生がかなりお疲れであることが、画面越しに伝わってきます(註1)。勿論それだけならいいのですが、説明に言葉足らずな部分があったりと、講義の質にも関わっています。

私は本来、講義というものがあまり好きではありません。なぜなら講義は、講師への依存度が大きく、自分のペースで勉強効率をコントロールできる余地が比較的少ないためです。この2周目部分の受講に際しては、勉強効率がかなり下がったと思っています。

 

補足:アガルートとの比較について

冒頭で、工藤先生の柴田先生の講座への言及について紹介しましたが、それには続きがあります。

 

本格的に講師業に入るにあたり,入門講座は避けて通れないということで,何とか柴田先生の入門講座の基本的方針を踏襲しつつ,これと異なる入門講座はできないものかと考えました。

 

柴田先生の入門講座は,受験業界ではスピードが速く情報量が多いことが特長とされていたので,方向性としては,スピードを落として情報量を減らすのか,もっとスピードを上げて情報量を増やすのか,大きく分けて2つ考えられました。例えば,前者であれば,柴田先生と異なり,「講義中にテキストの内容を読み上げラインマーカーを引かせる」,「1つ1つの知識を板書する」などの講義手法が考えられましたが,私の性には合わないので(このような講義手法が悪いと言っているのではありません),後者を選ぶことにしました。

 

そこで,最先端の知識,詳細な判例分析,論文の書き方などさらに情報量を増やした「詰め込み型」の入門講座にしようと決めたわけです。

 

 入門講座の選択について | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

 

 

先述のとおり、私は現在「S式入門講座」に加え、アガルートの「重問」ならびに「論証の使い方」も受講しています。アガルートの教材を学習していると、最新の判例や学術界の動向も多く出てきますし、それらへの分析の深度も強く感じます。「S式入門講座」は、情報の「量」だけでなく「鮮度」「分析の深さ」でアガルートの入門講座に劣ると考えられます。

 

実を言うと私は当初、S式入門講座とアガルート、どちらの入門講座を選ぶべきか迷っていました(さらに中村充先生の4S基礎講座も)。

 

最終的にS式入門講座を選んだ理由には値段も大きいですが(苦笑)、

知人のアガルートの入門受講生から聞いた評判も大きく影響しています。

多かった声は、「難しいので何度も回すことにより理解できた」「わからない点を学術書や判例に当たって解消していた」といったものです。つまり、アガルートの入門講座は300時間ですが、特に初学者は300時間で終わらない可能性もあるということでしょう(ちなみに上記の声は、いずれも法学部出身者)。

 

私が学生だったら、迷わずアガルートを選んだと思います。可処分時間が多い中でしたら、「入門講座とひたすら戦う数ヶ月間」を設定して取り組み、上位合格を目指せる情報のインプットに取り組んだでしょう。

 

しかし現在の私は社会人。可処分時間が少なく、かつ海外在住であることから、日本語文献へのアクセスも非常に悪い状態です。その中で、求められるのは“必要最小限度”であり、「何度も回す必要がある」「別途文献に当たる必要がある」講義は、避けねばなりませんでした(本当は受講してみたかったですが)。

 

もしS式入門講座が「必要最小限度」を下回っていたとしたら、これは大問題となりますが、こればかりは過去実績に基づいてその条件を満たしていると信じて取り組むしかありません。現状、問題演習をする中で致命的不足を感じたことはないので、大きな問題が生じることはないのではないかと思っています。

 

  

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